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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻2号

2020年02月発行

文献概要

今月の症例

Pachydermoperiostosisの1例

著者: 井手豪俊1 大野麻衣子1 塚本華倫1 木村七絵1 伊東孝通1 平野敦士2 古江増隆1

所属機関: 1九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野 2九州大学大学院医学研究院病態機能内科学

ページ範囲:P.107 - P.112

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要約 32歳,男性.姉が非特異性多発性小腸潰瘍症(SLCO2A1遺伝子変異)と診断されている.15歳頃から顔面,手指,足趾の皮膚が肥厚し始めた.当院消化器内科にて遺伝子検査を施行したところ,姉と同様にSLCO2A1遺伝子変異を認めた.X線撮影で長管骨の骨膜性骨肥厚を認めたほか,皮膚肥厚およびばち状指があり,3主徴が認められたこととSLCO2A1遺伝子変異があることからpachydermoperiostosisと診断した.本疾患はわが国の推定患者数約200人であり,非常に稀な疾患である.前述の症状に加え,貧血や胃・十二指腸潰瘍などを合併することもある.原因は2つの遺伝子変異(SLCO2A1HPGD)であり,これによりprostaglandin E2が過剰になることとされているが,詳細は不明な部分も多く,治療も対症療法のみである.今後,病態のさらなる究明と治療法の確立が望まれる.

参考文献

1) 李 成姫,他:日形会誌 35:247, 2015
2) Fine A & Goldstein RH:Prostaglandins 33:903, 1987
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5) 小林 拓,他:日消誌 113:1380, 2016
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7) Uppal S, et al:Nat Genet 40:789, 2008
8) Kabashima K, et al:Am J Pathol 176:721, 2010
9) Nakazawa S, et al:J Dermatol Sci 78:153, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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