icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻2号

2020年02月発行

文献概要

症例報告

感染性心内膜炎に合併したIgA血管炎の1例

著者: 平田佳子1 木村佳史1 藤井佑樹2 小池宙3

所属機関: 1東京都済生会中央病院皮膚科 2東京都済生会中央病院循環器内科 3東京都済生会中央病院総合診療内科

ページ範囲:P.133 - P.139

文献購入ページに移動
要約 41歳,男性.既往歴にダウン症候群,心室中隔欠損症など.初診1か月前に労作時呼吸困難と発熱を自覚.初診2日前に下腿の皮疹と両足関節痛が出現した.初診時,両下腿に浸潤を触れる紫斑を認め,IgA血管炎を疑いロキソプロフェンナトリウムの内服を開始したが,紫斑の増悪と人工肛門の腫脹,呼吸困難増悪があり,当院総合診療内科に入院した.皮膚生検にて真皮浅層の血管周囲性にリンパ球と好中球の浸潤を認め,蛍光抗体直接法で真皮浅層血管壁にIgAとC3の沈着があり,IgA血管炎と診断した.入院後の内科的精査により血液培養でStreptococcus gallolyticus陽性,経食道心臓超音波検査で僧帽弁の疣腫を認め,感染性心内膜炎(infectious endocarditis:IE)と診断された.IEに対する抗菌薬投与によりIgA血管炎は軽快し,入院52日目にIEの治療を終了して退院.IgA血管炎ではさまざまな感染症が先行することが知られているが,IEが先行した例も文献的に散見され,IgA血管炎の発症契機としてIEも念頭に置く必要がある.

参考文献

1) 玉置邦彦:最新皮膚科学大系 第18巻全身疾患と皮膚病変,中山書店,p103, 2003
2) 加藤 愛,森田明理:臨皮 63:640, 2009
3) 豊原淳子,他:臨皮 51:225, 1997
4) Galaria NA, et al:Cutis 69:269, 2002
5) Ha SE, et al:Korean J Intern Med 30:406, 2015
6) Berquist JB, Bartels CM:WMJ 110:38, 2011
7) 伊澤有香,他:皮膚病診療 35:751, 2013
8) 玉置邦彦(編):最新皮膚科学大系,第4巻,紅斑・滲出性紅斑 紫斑 脈管系の疾患,中山書店,p125, 2003
9) 乃村俊史,他:臨皮 58:108, 2004
10) 玉置邦彦(編):最新皮膚科学大系,特別巻3,炎症性皮膚疾患の病理診断,中山書店,p299, 2004
11) Burton-Kee B, et al:J Clin Pathol 33:653, 1980
12) 吉田 敦,他:臨床と微生物 40:495, 2013
13) Strom BL, et al:Ann Intern Med 129:761, 1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?