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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻2号

2020年02月発行

文献概要

症例報告

自己免疫性溶血性貧血を伴った好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例

著者: 西川絢子1 藤本徳毅1 寺村和也1 加藤威1 中西健史1 田中俊宏1 木藤克之2

所属機関: 1滋賀医科大学皮膚科 2滋賀医科大学血液内科

ページ範囲:P.147 - P.150

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要約 35歳,男性.体幹に浮腫性紅斑を生じ,その後に発熱や四肢のしびれを自覚し当院を紹介受診した.血液検査で好酸球増多を認め,アレルギー性鼻炎の既往,下痢や末梢神経障害など血管炎に伴う症状から好酸球性多発血管炎性肉芽腫症と診断した.経過中に著明な貧血の進行があり,精査のため入院となった.Coombs試験が直接・間接ともに陽性であり,自己免疫性溶血性貧血と診断した.プレドニゾロン内服により両疾患の改善が得られたが,神経障害の改善には免疫グロブリン大量静注療法が必要であった.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に肺胞出血や消化管出血による貧血を合併した報告は散見されるが,自験例では自己免疫性溶血性貧血を合併した.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に合併する貧血は出血性のみではなく溶血性の可能性もあり,注意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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