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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻2号

2020年02月発行

文献概要

症例報告

メトトレキサート併用が奏効した成人Still病の1例

著者: 渡部茉耶12 森田知世12 栁瀬哲至13

所属機関: 1JA尾道総合病院皮膚科 2広島大学病院皮膚科 3広島市立安佐市民病院皮膚科

ページ範囲:P.151 - P.156

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要約 38歳,女性.初診15日前より40℃台の弛張熱と咽頭痛・筋肉痛・大腿部の紅斑が出現し,出没を繰り返し全身へ拡大した.入院での抗菌薬加療にて症状は改善せず,全身筋肉痛が増悪し当科へ転院した.初診時,軀幹・四肢にKöbner現象を伴う紅斑を認め,血液検査では炎症反応の上昇,軽度の肝機能異常とフェリチンの著増があり,抗核抗体・リウマトイド因子は陰性であった.本症例を成人Still病(adult onset Still's disease:AOSD)と診断し,プレドニゾロン(PSL)0.7mg/kgで治療を開始するも,治療抵抗性のため1mg/kgへ増量.その後,ステロイドパルス療法を行ったが発熱・筋肉痛などの全身症状は改善しなかった.メトトレキサート(MTX)8mg/週を追加したところすべての症状は完全に消退し,フェリチンも正常化した.MTXはAOSDによる関節症状に対し有効とされているが,自験例ではステロイドとMTXの併用により筋肉痛を含む全身症状が改善しており,AOSDによる筋肉痛に対してもMTXは有効と考えられた.

参考文献

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10) Lee JY, et al:J Am Acad Dermatol 52:1003, 2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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