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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻2号

2020年02月発行

文献概要

症例報告

肺小細胞癌の皮膚転移巣に対する緩和治療として放射線照射が奏効した1例

著者: 増田容子1 小林研太1 横山知明1

所属機関: 1静岡市立清水病院皮膚科

ページ範囲:P.165 - P.170

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要約 88歳,男性.右下葉に悪性を疑う結節影があり,徐々に増大していたが,高齢と高度肺気腫のため治療適応外の判断で経過観察されていた.当科初診の2か月前より右鼻翼の皮疹を自覚.徐々に増大傾向がみられたため受診した.初診時,右鼻翼に15×9mm大,ドーム状隆起する淡紅色結節を認めた.皮膚生検より肺小細胞癌の皮膚転移と診断した.原発の肺癌は無治療で経過観察されていたが,皮膚病変は鼻腔を塞ぐ形で増大傾向あり,鼻腔閉鎖や出血などが予想されたため,緩和的放射線治療の適応と考えた.計52Gyの照射にて腫瘍はほぼ消失した.しかし,原病の進行により転移出現6か月後に永眠された.転移性皮膚腫瘍はしばしば出血などのトラブルを招くため,原発巣の治療が困難な場合でも,物理的閉塞等によるQOL低下をきたす可能性があるが切除困難な腫瘍に関しては,緩和治療として放射線照射などが検討されるべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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