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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻2号

2020年02月発行

文献概要

症例報告

Basosquamous cell carcinomaの多発転移をきたしたGorlin症候群の1例

著者: 塔筋恵実1 山本有紀1 稲葉豊1 西口麻奈1 国本佳代1 瀧藤克也2 藤本正数3 村田晋一3 松立吉弘4 神人正寿1

所属機関: 1和歌山県立医科大学皮膚科 2済生会有田病院外科 3和歌山県立医科大学人体病理学教室 4徳島大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.171 - P.176

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要約 50歳,女性.初診2年前から肛門潰瘍があったが放置していた.初診1か月前に同症状を主訴に近医外科を受診し,肛門潰瘍と左鼠径リンパ節生検を施行され,肛門管から肛門周囲皮膚の有棘細胞癌,鼠径・腸骨動脈リンパ節,肺転移(T3N2M1, stageⅣ)と診断され,人工肛門造設術後に当科紹介になった.放射線療法(肛門部皮膚Tomotherapy50Gy/25Fr)と5FU+CDDP療法を開始したが,全身にbasal cell carcinoma(BCC)が多発しており,PTCH1遺伝子変異を認めたことよりGorlin症候群の確定診断に至った.前医の生検組織標本を当院で再度検討し,BCC様の異型細胞が胞巣を形成している部位が認められたことよりbasosquamous cell carcinoma(BSCC)と診断した.Gorlin症候群は予後の良い疾患として扱われており,他臓器転移をきたした報告は本邦では7症例であった.早期診断の重要性と,物理的刺激を受けやすい部位に発症したBCCは注意深い観察と早期切除が望ましいと考えられたため,文献的考察を含めて報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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