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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻2号

2020年02月発行

文献概要

症例報告

足底に単発した大型伝染性軟属腫の1例

著者: 日高太陽12 長谷川道子1 田村敦志1

所属機関: 1伊勢崎市民病院皮膚科 2産業医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.181 - P.184

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要約 14歳,女性.初診の2〜3か月前,右足底の結節に気づいた.次第に増大したため,当科を紹介され受診した.初診時,右足底穹窿部に10×8mmのドーム状に隆起した淡紅色結節が存在した.表皮囊腫を疑い,切除した.切除標本の組織像では表皮直下から皮下脂肪織上層にかけて肥厚した重層扁平上皮で裏打ちされた囊腫構造があり,中央で皮膚表面に開口していた.囊腫壁のケラチノサイトの細胞質は大型で好酸性に染まる細胞質内封入体で満たされ,囊腫内には封入体を多数含む角質塊がみられた.組織像より伝染性軟属腫と診断した.伝染性軟属腫が非生毛部である足底に生じることはきわめて稀である.国内外で報告された足底発生38例の集計では単発例が63%,1cm以上の大型病変が76%を占めており,臨床診断が困難な場合が少なくない.足底発生例のこのような特徴を知ることは診断の手掛かりとして重要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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