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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻3号

2020年03月発行

文献概要

症例報告

副腎皮質ステロイドにコルヒチンの追加投与が奏効した後天性表皮水疱症の1例

著者: 植木瑶子1 岸本泉1 植田郁子1 山﨑文和1 神戸直智1 立石千晴2 鶴田大輔2 岡本祐之1

所属機関: 1関西医科大学皮膚科 2大阪市立大学大学院皮膚病態学

ページ範囲:P.245 - P.250

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要約 70歳,女性.体幹,四肢の水疱を主訴に近医より紹介受診した.初診時,四肢を中心に発赤を伴わない緊満性の水疱が多発していた.表皮下水疱で,水疱内には好酸球を主体とした細胞が浸潤していた.蛍光抗体直接法で表皮基底膜部にIgG,C3が線状に沈着していた.抗BP180抗体は陰性であったが,水疱性類天疱瘡と診断し加療を開始した.しかし,プレドニゾロン,ジアミノジフェニルスルホンやミゾリビンとの併用は無効であった.その後の血清解析で後天性表皮水疱症と診断した.プレドニゾロン15mg/日にコルヒチン1mg/日の内服を追加したところ,コルヒチン開始後2週間で皮疹は著明に改善した.現在プレドニゾロン5mg隔日投与とコルヒチン1mgとの併用で増悪はみられず経過している.治療抵抗性の後天性表皮水疱症に対するステロイドとコルヒチンの併用投与は治療効果が比較的早期に現れ,また病理組織学的に好中球の浸潤がみられなくても有効である場合もあるため,積極的に併用してもよい薬剤であると考えた.

参考文献

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12) 横見明典,他:皮の科 5:125, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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