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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻3号

2020年03月発行

文献概要

症例報告

ベキサロテン投与と光線療法が奏効したCD8陽性菌状息肉症の1例

著者: 小林由佳1 西田絵美1 鳥居寛1 松原章宏1 村松伸之介1 正木彩子2 稲垣宏2 森田明理1

所属機関: 1名古屋市立大学大学院医学研究科加齢・環境皮膚科学 2名古屋市立大学大学院医学研究科臨床病態病理学

ページ範囲:P.251 - P.257

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要約 55歳,女性.初診9年前から体幹に瘙痒を伴う紅斑が出現,初診1か月前より体幹四肢に潰瘍が出現した.初診時,体幹四肢に浸潤を伴う紅斑,その一部に潰瘍を認めた.病理組織所見を含めてCD8陽性菌状息肉症と診断した.入院後より光線療法およびベキサロテンの投与を開始,皮膚症状は徐々に改善し,入院後第53日目にはmSWATは119から53に低下,皮膚病変は部分寛解となった.第182病日にはmSWATは17まで低下,潰瘍は消退した.第198病日にはCT画像で腫大していた両側鼠径部のリンパ節の縮小を認め,病理組織所見でも表皮の菲薄化,真皮浅層のリンパ球の減少を確認した.本症例は光線療法とベキサロテン内服の併用により部分寛解を得たCD8陽性菌状息肉症の初めての症例報告である.光線療法とベキサロテン内服の併用はCD8陽性菌状息肉症の治療法の1つとして期待されると考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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