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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻4号

2020年04月発行

文献概要

症例報告

典型的なダーモスコピー所見を呈した顔面肉芽腫の1例

著者: 河合匡子1 吉田憲司1

所属機関: 1池上総合病院皮膚科

ページ範囲:P.301 - P.305

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要約 26歳,男性.1か月前より右上口唇に自覚症状のない紅色結節が出現した.初診時,右上口唇に1cm大の弾性軟で境界明瞭な半球状に隆起する紅色結節があった.病理組織では真皮全層にわたって好中球,好酸球,リンパ球,組織球など多彩な細胞が密に浸潤しており,臨床像と併せて顔面肉芽腫と診断した.ステロイド外用による治療を行ったが効果が乏しかったため,ジアフェニルスルホン(DDS)75mg/日内服へ変更したところ,結節は徐々に平坦化した.自験例のダーモスコピーでは毛包の開大,毛包周囲のwhitish halo,毛細血管拡張があり,背景は黄色調を呈していた.過去における本症報告例のダーモスコピー所見では毛包の開大,毛細血管拡張が高率でみられ,自験例は典型像と考えられた.自覚症状のない顔面の紅色結節のダーモスコピーで,これらの所見を見た際には顔面肉芽腫を鑑別として考える必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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