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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻4号

2020年04月発行

文献概要

症例報告

苔癬型組織反応と好酸球性海綿状態を呈した日光表在播種型汗孔角化症の1例

著者: 宮下奈月1 宮下和也1 松本優香1 小川浩平1 宮川史1 小豆澤宏明1 浅田秀夫1

所属機関: 1奈良県立医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.323 - P.328

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要約 73歳,女性.初診4か月前から四肢にみられる軽度の瘙痒を伴う環状の角化性局面を主訴に受診した.臨床像と病理組織学的所見より日光表在播種型汗孔角化症と診断した.初診1か月後より瘙痒が増悪し,汗孔角化症の皮疹に一致して紅斑が出現した.初診3か月後に再度施行した皮膚生検では,苔癬型組織反応と好酸球性海綿状態を認めた.ベタメタゾン0.25mg/日および抗ヒスタミン薬の長期内服を行い,紅斑はほぼ退色し,軽度の角化を残すのみとなった.苔癬型組織反応や好酸球性海綿状態を認める汗孔角化症の報告は多数あるが,両者の併存が記述されている報告は調べえた限り自験例が3例目であった.汗孔角化症の経過中に,苔癬型組織反応による急な炎症が引き起こされる場合があり,それにより,自然消退することを念頭に置くべきと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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