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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻4号

2020年04月発行

文献概要

症例報告

明細胞肉腫の1例

著者: 藤井鷹矢1 脇裕磨1 青木礼奈1 簗場広一1 伊藤宗成1 延山嘉眞1 朝比奈昭彦1 石田勝大2 松浦愼太郎2

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座 2東京慈恵会医科大学形成外科学講座

ページ範囲:P.347 - P.351

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要約 48歳,女性.初診2年前,左手掌の褐色結節を自覚し,増大傾向にあるため当科を受診した.左手掌に直径20mm大のドーム状に隆起した弾性硬の灰色の結節を認めた.病理組織学的に表皮との連続性はなく,真皮浅層から皮下組織に紡錘形から多角形で淡明な細胞質と明瞭な核小体を有する淡明な核からなる腫瘍細胞の増殖を認めた.腫瘍細胞はS100蛋白,HMB-45,Melan-Aが陽性であり,EWSR1転座を認めたため,明細胞肉腫と診断した.同腫瘍を20mm離して切除し,内側足底皮弁にて再建した.術後1年経過した現在,遠隔転移や再発を認めていない.明細胞肉腫は,悪性黒色腫と病理組織学的所見や免疫組織学的所見が類似しているため,鑑別が問題になることがある.確定診断のためにはEWSR1/ATF1遺伝子の転座を検索することが有用である.また,明細胞肉腫の予後は良いとは言えず,術後29年で遠隔転移を認めた報告もあることから,長期間の経過観察が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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