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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻4号

2020年04月発行

文献概要

症例報告

フタトゲチマダニ幼虫による多数刺咬症の1例

著者: 小谷紘史1 谷口隆志1 大塚勤1 矢野泰弘2

所属機関: 1国際医療福祉大学病院皮膚科 2福井大学医学部病因病態医学講座医動物学領域

ページ範囲:P.359 - P.364

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要約 74歳,男性.栃木県那須町在住.2018年9月初旬,両下肢と腹部に瘙痒を伴う皮疹が出現.約1か月間,ステロイド外用を行ったが症状の改善を認めず当院を受診した.腹部,下肢に粟粒大から米粒大の紅色丘疹を多数認めた.靴下上の虫体を採取して顕微鏡で観察したところ,3対6脚を有しており,形態からマダニ幼虫による刺咬症を疑った.用手的な摘除が困難であったため,フェノトリン5%液を外用し,1週間後に症状改善を認めた.その後,顕微鏡による観察から,フタトゲチマダニ幼虫と同定した.フタトゲチマダニ幼虫は全国に広く分布し,時に多数刺咬例が報告されている.摘除困難な多数刺咬例には,フェノトリン5%液が治療選択肢となることが示唆された.また,フタトゲチマダニ刺咬症は日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群などのダニ媒介性疾患の原因となる可能性が高いため,今後も注意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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