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Derm.2020
皮膚腫瘍外科医の育成,それは長い道程か
著者: 種村篤1
所属機関: 1大阪大学医学部皮膚科学教室
ページ範囲:P.16 - P.16
文献購入ページに移動 皮膚科医になってこの年度末に23年が経とうとしている.自分が皮膚外科に興味を持ちはじめたのは,わずか1年目(その頃はローテート制度がなく,医師1年目)のときである.形成外科の先生方がされていた手術に魅了され,2年間大阪大学形成外科関連病院で研修させていただく機会を得たのが始まりであり,そのとき教えていただいた知識や技術,心得が今でも大きく活かされていると感じる.皮膚科医が外科治療を行う上でやはり皮膚悪性腫瘍の診療は欠かせない領域であり,その患者さんの診断から手術を含めた抗癌治療を一貫して自分でできることは,この上なく魅力的だと確信している.このように感じるのは少数派なのだろうか.皮膚科に入局される先生方に「なんで皮膚科を選んだん? ほかどの科と迷った?」などと尋ねると,「皮膚科は内科と外科両方兼ね備えているから.形成外科と迷いました」という嬉しい返事をもらえることがしばしばある.自分なりに,皮膚腫瘍の正しい診断をつけふさわしい治療に結びつけることの魅力を伝え,「先生なかなか器用やねえ,しっかり研修すればこんな手術もできるよ!」とオペ場で話す.また,どこまでの手術ができるようになりたいか達成目標を尋ね,そのためのトレーニングを提案している.ただ,手術の勉強・基礎研修を行った上で皮膚腫瘍外科を専門にしたい,と思う後輩がそれほど増えない.その理由として指導法の問題以外,地域性,勤務皮膚科での手術の必要性・症例数,手術によるリスクなどさまざまな課題があるかもしれない.
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