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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 1.最近話題の皮膚疾患
メトトレキサート関連リンパ増殖異常症(リンパ増殖性疾患)
著者: 濱田利久1
所属機関: 1高松赤十字病院皮膚科
ページ範囲:P.25 - P.30
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メトトレキサート(MTX)は,半世紀以上前に開発された葉酸代謝拮抗剤に分類される抗がん剤である.低用量・間欠的使用による免疫抑制作用を利用して関節リウマチで頻用されている.また,本邦でも乾癬に使用できるようになった.一方,MTX投与中の患者に悪性リンパ腫を発症しうることが,1990年代より報告されるようになり,MTX関連リンパ増殖異常症として疾患概念が確立している.WHO分類では,他の免疫抑制剤によるものも含め,「他の医原性免疫不全関連リンパ増殖異常症」として記載されている.本邦で発症頻度が高いとされ,皮膚など節外性病変として発症することも多く,Epstein-Barr(EB)ウイルスが関連しうること,MTXの中止のみでも自然消退する場合があるという特徴がある.本疾患は皮膚病変として発症しうることから,われわれ皮膚科医もこの疾患を認識し,適切に診断・フォローアップできるよう理解を深めておくことが必要と考えられる.
メトトレキサート(MTX)は,半世紀以上前に開発された葉酸代謝拮抗剤に分類される抗がん剤である.低用量・間欠的使用による免疫抑制作用を利用して関節リウマチで頻用されている.また,本邦でも乾癬に使用できるようになった.一方,MTX投与中の患者に悪性リンパ腫を発症しうることが,1990年代より報告されるようになり,MTX関連リンパ増殖異常症として疾患概念が確立している.WHO分類では,他の免疫抑制剤によるものも含め,「他の医原性免疫不全関連リンパ増殖異常症」として記載されている.本邦で発症頻度が高いとされ,皮膚など節外性病変として発症することも多く,Epstein-Barr(EB)ウイルスが関連しうること,MTXの中止のみでも自然消退する場合があるという特徴がある.本疾患は皮膚病変として発症しうることから,われわれ皮膚科医もこの疾患を認識し,適切に診断・フォローアップできるよう理解を深めておくことが必要と考えられる.
参考文献
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