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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 2.皮膚疾患の病態
細胞競合が担う皮膚の恒常性維持と老化
著者: 松村寛行1 劉楠1 西村栄美1
所属機関: 1東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞医学分野
ページ範囲:P.37 - P.43
文献購入ページに移動皮膚は,最大の臓器であり,個体と外界との境界においてバリアとして働き,その生命を維持するうえできわめて重要な役割を果たしている.表皮においては,表皮幹細胞がバリア機能を担う角化細胞を生み出し続け,その新陳代謝と維持における要となっている.しかし,表皮幹細胞の実体や長期に渡って維持される仕組み,さらに皮膚の老化との関連については,いまだ十分には理解されていない.最近,われわれは表皮内で表皮幹細胞同士が互いに競り合い,「細胞競合」と呼ばれる現象を引き起こすことによって,長きにわたり表皮幹細胞が維持されるが,継続的な細胞競合を経て最終的に競合不全をきたすことで,皮膚の老化が顕在化することを見出した.本稿では,われわれの最近の研究成果とその臨床的意義についても紹介したい.
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