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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 3.新しい検査法と診断法
重症薬疹(Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症)のバイオマーカー
著者: 濱菜摘1 阿部理一郎1
所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科
ページ範囲:P.66 - P.70
文献購入ページに移動Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)/中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)は代表的な重症薬疹であり,眼や呼吸器などの後遺症を残すだけでなく,死亡率もいまだ高い.病初期に治療を開始することが患者の予後を左右する一方,病初期の臨床像は多形紅斑などの通常型の薬疹と鑑別が困難である.これまでgranulysinやsFasLなどがSJS/TENの発症早期から上昇し,特にgranulysinは早期診断のバイオマーカーとして有用とされたが,実際は薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS)などの他の薬疹や急性肝炎,移植片対宿主病などでも同様に検出される.最近われわれは新たに疾患特異的なバイオマーカーとなりうるgalectin-7とRIP3を見出した.稀な疾患ではあるが致死的となりうる重症薬疹の診断において有用と考えられるこれらのバイオマーカーの今後の臨床応用が期待される.
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