文献詳細
文献概要
増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 3.新しい検査法と診断法
即時型新規魚アレルゲンmyosin heavy chain
著者: 柴田夕夏1 世良田聡2 大石拓3 藤枝幹也3 仲哲治2 佐野栄紀1
所属機関: 1高知大学医学部皮膚科学講座 2高知大学医学部附属病院免疫難病センター 3高知大学医学部小児思春期医学講座
ページ範囲:P.71 - P.76
文献購入ページに移動魚アレルギーは頻度が高く,診断や治療に難渋する症例も多い.魚アレルギーの主要抗原はパルブアルブミンなどがよく知られているが,必ずしも抗原が特定できないこともあり,未知の抗原が関与している可能性があった.われわれは,サケ蛋白抽出液を粗抗原としてウエスタンブロットを施行し,魚アレルギー患者6例中5例に共通して約230kDaの蛋白質に血清IgEが結合することを見い出した.質量分析によりこれをmyosin heavy chain(MYHC)と同定した.リコンビナントサケMYHC蛋白は患者の末梢血好塩基球を活性化することより,抗原特異的IgEの結合のみならずアレルギー反応を誘導することを確認した.また,これらの患者はすべてアトピー性皮膚炎を有していたことより,皮膚バリア機能の障害が高分子量のMHYCに感作されるリスクを高めた可能性を考えた.
参考文献
掲載誌情報