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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 4.皮膚疾患治療のポイント
Behçet病の口腔内アフタ性潰瘍とアプレミラスト
著者: 菊地弘敏1
所属機関: 1帝京大学医学部内科学講座
ページ範囲:P.103 - P.107
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Behçet病(以下,ベーチェット病)(Behçet's disease)では,口腔内アフタ性潰瘍は必発で,長年にわたり患者を悩ませる症状である.この症状に対して,経口投与可能な低分子薬であるアプレミラストが,日本人患者を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験において,ベーチェット病患者の口腔内潰瘍数と口腔内潰瘍疼痛VASスコアを有意に低下させた.口腔内潰瘍の適応のみであるが,2019年9月に保険収載され,『ベーチェット病診療ガイドライン2020』にも取り上げられている.副作用として下痢,悪心,頭痛などを認めるため,アプレミラスト投与開始時はスターターパックを用いて漸増投与を行う必要があるが,これまでに重篤な合併症は報告されていない.アプレミラストは,ホスホジエステラーゼ4(PDE4)を阻害し,炎症性サイトカインを制御することで抗炎症作用を示すが,この作用機序から考えれば,口腔内潰瘍以外への効果も検討する価値がある.
Behçet病(以下,ベーチェット病)(Behçet's disease)では,口腔内アフタ性潰瘍は必発で,長年にわたり患者を悩ませる症状である.この症状に対して,経口投与可能な低分子薬であるアプレミラストが,日本人患者を含む国際共同第Ⅲ相臨床試験において,ベーチェット病患者の口腔内潰瘍数と口腔内潰瘍疼痛VASスコアを有意に低下させた.口腔内潰瘍の適応のみであるが,2019年9月に保険収載され,『ベーチェット病診療ガイドライン2020』にも取り上げられている.副作用として下痢,悪心,頭痛などを認めるため,アプレミラスト投与開始時はスターターパックを用いて漸増投与を行う必要があるが,これまでに重篤な合併症は報告されていない.アプレミラストは,ホスホジエステラーゼ4(PDE4)を阻害し,炎症性サイトカインを制御することで抗炎症作用を示すが,この作用機序から考えれば,口腔内潰瘍以外への効果も検討する価値がある.
参考文献
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2) 菊地弘敏:リウマチ科 54:662, 2015
3) 菊地弘敏:リウマチ科 49:705, 2013
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