文献詳細
文献概要
増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 4.皮膚疾患治療のポイント
本邦悪性黒色腫治療のnew data—末端黒子型への抗PD-1抗体治療効果(JAMP study)
著者: 中村泰大1
所属機関: 1埼玉医科大学国際医療センター皮膚腫瘍科・皮膚科
ページ範囲:P.145 - P.149
文献購入ページに移動summary
現在進行期悪性黒色腫で用いられる免疫チェックポイント阻害薬は海外第III相臨床試験にてその有効性が確認され,本邦でも日常診療で用いられている.一方で,実臨床では海外臨床試験ほどの効果は得られないことを実感する.これは欧米と本邦を含めたアジア諸国での悪性黒色腫の病型の割合の違いによると推察されている.そこで,多施設共同研究により効果が低いと考えられている末端黒子型黒色腫を193例集積し,抗PD-1抗体の効果につき後ろ向きに検討した.奏効率は16.6%,全生存期間中央値は18.2か月とやはり海外の成績には及ばず,かつ爪部と掌蹠発生例を比較したところ,爪部発生例にて有意に奏効率および全生存期間が低かった.爪部発生例での抗PD-1抗体効果には限界があり,今後複合免疫療法を含めた新たな治療の開発が急務と考えられる.
現在進行期悪性黒色腫で用いられる免疫チェックポイント阻害薬は海外第III相臨床試験にてその有効性が確認され,本邦でも日常診療で用いられている.一方で,実臨床では海外臨床試験ほどの効果は得られないことを実感する.これは欧米と本邦を含めたアジア諸国での悪性黒色腫の病型の割合の違いによると推察されている.そこで,多施設共同研究により効果が低いと考えられている末端黒子型黒色腫を193例集積し,抗PD-1抗体の効果につき後ろ向きに検討した.奏効率は16.6%,全生存期間中央値は18.2か月とやはり海外の成績には及ばず,かつ爪部と掌蹠発生例を比較したところ,爪部発生例にて有意に奏効率および全生存期間が低かった.爪部発生例での抗PD-1抗体効果には限界があり,今後複合免疫療法を含めた新たな治療の開発が急務と考えられる.
参考文献
1) Yamazaki N, et al:Cancer Chemother Pharmacol 79:651, 2017
2) Yamazaki N, et al:Cancer Sci 110:1995, 2019
3) Robert C, et al:Lancet Oncol 20:1239, 2019
4) Larkin J, et al:N Engl J Med 381:1535, 2019
5) Hayward NK, et al:Nature 545:175, 2017
6) Nakamura Y, et al:J Clin Oncol 37:suppl;abstr 9529, 2019
7) Black WC, et al:Arch Dermatol 123:1331, 1987
8) Bradford PT, et al:Arch Dermatol 145:427, 2009
9) Chi Z, et al:BMC Cancer 11:85, 2011
10) Fujisawa Y, et al:Cancer Med 8:2146, 2019
11) Roh MR, et al:Yonsei Med J 51:562, 2010
12) Shoushtari AN, et al:Cancer 122:3354, 2016
13) Nathan P, et al:Eur J Cancer 119:168, 2019
14) Si L, et al:Transl Oncol 12:828, 2019
15) Nakamura Y, et al:Ann Oncol 29:ix105, 2018
16) Yamazaki N, et al:Ann Oncol 30:ix115, 2019
掲載誌情報