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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 5.皮膚科医のための臨床トピックス
デュピルマブと顔面紅斑
著者: 片岡葉子1
所属機関: 1地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪はびきの医療センター皮膚科
ページ範囲:P.158 - P.160
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デュピルマブは重症アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)患者の皮膚症状およびquality of life(QOL)の改善を可能にする有力な薬剤である.しかし,顔面病変に対する効果の発現は他部位に比し遅い傾向があり,時に投与前にみられなかった皮疹の出現を認めることもあり,治療継続の判断に影響する.デュピルマブ投与後の顔面皮膚症状の変化を,速やかに改善,元来の紅斑が残存・持続(うち緩徐に改善・持続・難治性紅斑),悪化または投与前になかった皮疹が出現(うち外用薬等併用薬の急な中断・接触皮膚炎の合併・酒皶類似の病態の出現)に分類し各病変の臨床的特徴と対応について述べた.成人ADの顔面病変およびデュピルマブ投与後の反応は多彩である.これはADの顔面皮膚症状の病態が複雑であることを反映している.本剤投与にあたっては,全身の皮膚炎の病勢とともに,個々の病態を正確に把握しそれぞれに応じた併用薬の要否,本剤の投与間隔を含めた適切な薬剤投与選択の判断が求められる.
デュピルマブは重症アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)患者の皮膚症状およびquality of life(QOL)の改善を可能にする有力な薬剤である.しかし,顔面病変に対する効果の発現は他部位に比し遅い傾向があり,時に投与前にみられなかった皮疹の出現を認めることもあり,治療継続の判断に影響する.デュピルマブ投与後の顔面皮膚症状の変化を,速やかに改善,元来の紅斑が残存・持続(うち緩徐に改善・持続・難治性紅斑),悪化または投与前になかった皮疹が出現(うち外用薬等併用薬の急な中断・接触皮膚炎の合併・酒皶類似の病態の出現)に分類し各病変の臨床的特徴と対応について述べた.成人ADの顔面病変およびデュピルマブ投与後の反応は多彩である.これはADの顔面皮膚症状の病態が複雑であることを反映している.本剤投与にあたっては,全身の皮膚炎の病勢とともに,個々の病態を正確に把握しそれぞれに応じた併用薬の要否,本剤の投与間隔を含めた適切な薬剤投与選択の判断が求められる.
参考文献
1) 厚生労働省最適使用推進ガイドライン平成31年3月26日付薬生薬審発0326第7号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知(https://www.pmda.go.jp/files/000229155.pdf)
2) Blauvelt A, et al:Lancet 389:2287, 2017
3) Dalia Y, et al:Pract Dermatol 2018 Apr
4) Sakhar S, et al:Biologics 13:79, 2019
5) Suresh R, Murase JE:JAAD Case Rep 4:899, 2018
6) der Wijs LEM, et al:Br J Dermatol 2019 DOI:10. 1111/bjd. 18730
7) Heibel HD, et al:J Dermatolog Treat 2019 DOI:10. 1080/09546634. 2019./624 683
8) Igelman SJ, et al:JAAD Case Rep 6:139, 2020
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