icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻5号

2020年04月発行

文献概要

Derm.2020

+αを考えながら

著者: 宮野恭平1

所属機関: 1埼玉医科大学皮膚科学教室

ページ範囲:P.164 - P.164

文献購入ページに移動
 大学では初診,再診,乾癬外来の他,外来手術を週1回担当している.その中で,ほぼ毎週神経線維腫症1型の患者さんの腫瘍切除を行っている.大半の切除オーダーは『●の部位の腫瘍を1時間で可能な範囲切除』(故 倉持朗教授はいつもこのオーダーでした)と,シンプルかつざっくりしたものである.患者さんの立場からすると,手術は希望したものとはいえ,苦痛な時間となる.そのような時間の中でも,より満足してもらうには,丁寧に,かつなるべく多くの腫瘍を切除することではないだろうか.普段,私は『+αを考えながら』診療を行うよう心がけている.終了予定時間になっても(後に控える患者さんの手術内容にもよるが),「あともう少し,この部分だけ切除して終わりにしましょうか」と提案すると,断る患者さんはまずいない.むしろ,1か所でも多く切除できたことに感謝される.大したことをやっているわけではないが嬉しく思う.
 乾癬やアトピー性皮膚炎のように,生物学的製剤の登場により劇的な改善が期待できるようになった疾患もある一方で,いまだ経過を慎重に診ていく以外ない疾患もまだまだ多い.このような患者さんを前に歯痒い思いをすることもある.自分が患者さんの立場であれば,どのような診療をされたら,またどのような“+α”があれば,前向きになり嬉しい思いをするだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?