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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 5.皮膚科医のための臨床トピックス
皮膚筋炎特異的自己抗体別の皮疹病理組織像の特徴
著者: 沖山奈緒子1
所属機関: 1筑波大学医学医療系皮膚科
ページ範囲:P.173 - P.175
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皮膚筋炎は,近年同定された筋炎特異的自己抗体によってサブグループ分類され,間質性肺炎や悪性腫瘍の合併などの臨床像のみならず,皮膚症状も各群に特徴的な徴候があり,その病理学的特徴も異なっている.われわれが行った多施設共同研究である,皮膚筋炎の指の皮疹の病理組織学的解析では,抗ARS抗体陽性例では,苔癬反応のみならず湿疹反応や乾癬様皮膚炎の特徴を混じ,I型インターフェロン反応性蛋白myxovirus resistance A(MxA)の表皮発現がみられなかった.一方,抗MDA5抗体陽性例では,血管傷害が特徴で,MxAを高発現する.抗TIF1γ抗体陽性例では空胞変性を伴う苔癬反応が目立ち,表皮MxA発現がみられる.これらの所見は,末梢血や筋生検組織像解析とも合致していて,各グループの病態を反映しており,特異的治療法開発へ結びつくものと期待される.
皮膚筋炎は,近年同定された筋炎特異的自己抗体によってサブグループ分類され,間質性肺炎や悪性腫瘍の合併などの臨床像のみならず,皮膚症状も各群に特徴的な徴候があり,その病理学的特徴も異なっている.われわれが行った多施設共同研究である,皮膚筋炎の指の皮疹の病理組織学的解析では,抗ARS抗体陽性例では,苔癬反応のみならず湿疹反応や乾癬様皮膚炎の特徴を混じ,I型インターフェロン反応性蛋白myxovirus resistance A(MxA)の表皮発現がみられなかった.一方,抗MDA5抗体陽性例では,血管傷害が特徴で,MxAを高発現する.抗TIF1γ抗体陽性例では空胞変性を伴う苔癬反応が目立ち,表皮MxA発現がみられる.これらの所見は,末梢血や筋生検組織像解析とも合致していて,各グループの病態を反映しており,特異的治療法開発へ結びつくものと期待される.
参考文献
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