文献詳細
文献概要
増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 5.皮膚科医のための臨床トピックス
抗TIF1-ß抗体陽性皮膚筋炎の臨床的特徴
著者: 植田郁子1
所属機関: 1関西医科大学皮膚科学講座
ページ範囲:P.177 - P.180
文献購入ページに移動summary
抗transcriptional intermediary factor(TIF)1-ß抗体は皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)患者で検出される稀な自己抗体の1つである.免疫沈降法およびウェスタンブロット法により同定された抗TIF1-ß抗体単独陽性7例の臨床的特徴を検討した.7例中6例がDMと診断された.6例中2例は筋力低下なく,血液検査上CK値の上昇もなかったため,clinically amyopathic DMと診断した.残り4例では筋力低下がみられたが,うち3例でCK値は正常であった.皮膚症状はGottron兆候,爪囲紅斑,爪上皮出血点,顔面の紅斑がそれぞれ86%,57%,86%,71%でみられた.7例中1例で虫垂癌があった.間質性肺炎を合併した症例はなかった.抗TIF1-ß抗体は筋炎特異的自己抗体の1つであり,間質性肺炎の合併のないclinically amyopathic DMまたは軽症の筋炎との関連が示唆された.
抗transcriptional intermediary factor(TIF)1-ß抗体は皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)患者で検出される稀な自己抗体の1つである.免疫沈降法およびウェスタンブロット法により同定された抗TIF1-ß抗体単独陽性7例の臨床的特徴を検討した.7例中6例がDMと診断された.6例中2例は筋力低下なく,血液検査上CK値の上昇もなかったため,clinically amyopathic DMと診断した.残り4例では筋力低下がみられたが,うち3例でCK値は正常であった.皮膚症状はGottron兆候,爪囲紅斑,爪上皮出血点,顔面の紅斑がそれぞれ86%,57%,86%,71%でみられた.7例中1例で虫垂癌があった.間質性肺炎を合併した症例はなかった.抗TIF1-ß抗体は筋炎特異的自己抗体の1つであり,間質性肺炎の合併のないclinically amyopathic DMまたは軽症の筋炎との関連が示唆された.
参考文献
1) Kawai T, Akira S:EMBO Mol Med 3:513, 2011
2) Fujimoto M, et al:Arthritis Rheum 64:513, 2012
3) Satoh M, et al:Arthritis Res Ther 14:R79, 2012
4) Ueda-Hayakawa I, et al:Br J Dermatol 180:881, 2019
掲載誌情報