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増刊号特集 最近のトピックス2020 Clinical Dermatology 2020 5.皮膚科医のための臨床トピックス
乾癬性関節炎診療ガイドライン
著者: 朝比奈昭彦1
所属機関: 1東京慈恵会医科大学病院皮膚科学講座
ページ範囲:P.185 - P.187
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乾癬性関節炎は乾癬患者の10〜15%にみられ,関節変形を防ぐため早期診断と適切な治療を必要とする.現状では疾患についての啓発や対応が不十分であり,今回,皮膚科医を中心に診療に関わる複数科で,本邦の実情を考慮した診療ガイドラインを策定した.本文では,その病態の本質が付着部炎であることと,末梢関節炎だけでなく体軸関節炎,付着部炎,指趾炎,爪病変,皮膚病変といった複数領域の病変を生じる多彩な臨床像を述べ,疫学やリスク因子,診療の流れと検査のポイント,関節リウマチや変形性関節症などとの鑑別を解説した.治療はエビデンスレベルと推奨度を付してclinical question(CQ)で解説し,各製剤の治療上の位置付けを記した.中等症以上には生物学的製剤の使用も考慮し,現時点で効果のエビデンスが最も高い生物学的製剤はTNF(tumor necrosis factor)阻害薬,次いでIL(interleukin)-17阻害薬である.実臨床における治療薬の選択については,症例ごとに個別の状況を踏まえて決定することが望まれる.
乾癬性関節炎は乾癬患者の10〜15%にみられ,関節変形を防ぐため早期診断と適切な治療を必要とする.現状では疾患についての啓発や対応が不十分であり,今回,皮膚科医を中心に診療に関わる複数科で,本邦の実情を考慮した診療ガイドラインを策定した.本文では,その病態の本質が付着部炎であることと,末梢関節炎だけでなく体軸関節炎,付着部炎,指趾炎,爪病変,皮膚病変といった複数領域の病変を生じる多彩な臨床像を述べ,疫学やリスク因子,診療の流れと検査のポイント,関節リウマチや変形性関節症などとの鑑別を解説した.治療はエビデンスレベルと推奨度を付してclinical question(CQ)で解説し,各製剤の治療上の位置付けを記した.中等症以上には生物学的製剤の使用も考慮し,現時点で効果のエビデンスが最も高い生物学的製剤はTNF(tumor necrosis factor)阻害薬,次いでIL(interleukin)-17阻害薬である.実臨床における治療薬の選択については,症例ごとに個別の状況を踏まえて決定することが望まれる.
参考文献
1) 朝比奈昭彦,他:日皮会誌 129:2675, 2019
2) Gossec L, et al:Ann Rheum Dis 75:499, 2016
3) Coates LC, et al:Arthritis Rheumatol 68:1060, 2016
4) Singh JA, et al:Arthritis Rheumatol 71:5, 2019
5) 大槻マミ太郎,他:日皮会誌 129:1845, 2019
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