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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻6号

2020年05月発行

文献概要

症例報告

凍瘡様皮疹を契機に診断しえたneuropsychiatric systemic lupus erythematosusの1例

著者: 土田裕子1 新熊悟1 安齋理1 出口登希子1 片桐隆幸2 浦部陽香3 畠山公大3 堅田慎一3 小野寺理3 阿部理一郎1

所属機関: 1新潟大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野 2新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科学分野 3新潟大学脳研究所神経内科学分野

ページ範囲:P.395 - P.400

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要約 75歳,女性.当科初診の2か月前から足趾の冷感,暗紫色調の変化を自覚するようになった.皮疹出現の1か月後に意識障害が生じ,当院に緊急入院した.頭部画像検査で異常所見は認めず,意識障害の原因は不明であった.皮疹に関して当科を紹介され受診した.足趾に凍瘡様皮疹,頰部や耳介部に浸潤の触れる角化性紅斑を認めた.左頰部紅斑の病理組織検査で,表皮真皮境界部の液状変性および真皮付属器周囲にリンパ球を主体とした炎症細胞の浸潤を認めた.凍瘡状ループスに加え汎血球減少,低補体血症,抗核抗体陽性がみられたことから,neuropsychiatric systemic lupus erythematosus(NPSLE)を伴った全身性エリテマトーデスと診断した.意識障害はステロイド全身投与により改善した.エリテマトーデスを疑う皮疹をもつ原因不明の意識障害患者を診察した際,NPSLEを鑑別に挙げ全身を診察することが重要である.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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