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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻6号

2020年05月発行

文献概要

症例報告

血管平滑筋由来と考えた右中指PIP関節屈側に生じた平滑筋母斑の1例

著者: 吉井優太1 宗次太吉1 西澤綾1 大塩絢子1 端本宇志1 藤本典宏1 佐藤貴浩1

所属機関: 1防衛医科大学校皮膚科学講座

ページ範囲:P.406 - P.410

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要約 16歳,男児.幼少時より右中指PIP関節屈側に常色結節を認めていた.成長に伴い結節は拡大傾向を示し,疼痛を自覚するようになったことから当科受診.右中指PIP関節屈側に17×17mm大,1mm程隆起する弾性やや軟,常色から黄白色の皮内結節を認めた.生検組織にて真皮内に紡錘形細胞が小結節状に増大し,内部には血管の増生を認めた.腫瘍細胞はα-SMAとデスミンが陽性,ビメンチン陰性.病理組織学的所見から平滑筋母斑と診断した.さらに全摘出を行い,すべての切片を確認したが毛包を認めなかった.平滑筋線維束と血管壁が連続してみられ,立毛筋を認めないことから,血管平滑筋由来と考えた.平滑筋母斑が掌蹠に生じ,血管由来と記載されていた報告は過去に数例認めるのみである.診断に際しては特異的なマーカーなどはなく,組織学的な特徴から血管由来と診断されている.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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