icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻6号

2020年05月発行

文献概要

症例報告

重症アトピー性皮膚炎長期罹患後に発症したfolliculotropic mycosis fungoidesの1例

著者: 木谷美湖野1 江崎諒1 鷲尾健1 小野竜輔1 齊藤泰之2 神保直江3 錦織千佳子1

所属機関: 1神戸大学大学院医学研究科内科系講座皮膚科学分野 2神戸大学大学院医学研究科生化学・分子生物学講座シグナル統合学分野 3神戸大学大学院医学研究科病理部学講座病理診断学分野

ページ範囲:P.423 - P.429

文献購入ページに移動
要約 47歳,男性,幼少期より重度のアトピー性皮膚炎を罹患していた.他院にてステロイド経口剤を投与され若干の改善が認められるも緑内障にて中止となり,その後紅皮症状態やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus:MRSA)による関節炎を合併し当院に紹介された.当初は生物学的製剤の導入を目的として紹介されたが,MRSAによる敗血症を起こしたため緊急入院した.抗菌薬による加療後に生検を施行し,皮膚は毛包性ムチン沈着症の所見であり,鼠径リンパ節では異型細胞とT細胞受容体の単クローン性遺伝子再構成を認め,folliculotropic mycosis fungoidesと診断した.重症のアトピー性皮膚炎では生物学的製剤や免疫抑制剤の導入前にリンパ腫の除外診断が必要である.

参考文献

1) 厚生労働省:抗IL-4受容体αサブユニット抗体製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について(保医発0417 第5号 平成30年4月17日)
2) 加藤則人,他:日皮会誌 128:2431, 2018
3) 宮垣朝光:皮アレルギーフロンテ 16:18, 2018
4) Willemze R, et al:Blood 105:3768, 2005
5) Miyagaki T, Sugiyama M:J Dermatol Sci 64:1, 2011
6) Kakinuma T, et al:J Am Acad Dermatol 48:23, 2003
7) 飯島茂子,立石優美絵:西日皮膚 630:290, 2001
8) 濱田利久,岩月啓氏:皮アレルギーフロンテ 8:97, 2010
9) 高坂美帆,他:皮膚病診療 31:557, 2009
10) 椛島健治:J Environ Dermatol Cutan Allergol 3:129, 2009
11) Howell MD, et al:J Allergy Clin Immunol 120:150, 2007
12) 菅谷 誠,他:日皮会誌 122:1513, 2012
13) Sugaya M, et al:J Dermatol 41:50, 2014
14) 長谷哲男:皮膚病診療 31:629, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?