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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻6号

2020年05月発行

文献概要

症例報告

耳前部に生じたMycobacterium intracellulare感染症の1例

著者: 中野小百合1 延山嘉眞1 朝比奈昭彦1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.441 - P.446

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要約 72歳,女性.初診9か月前に右耳前部に自覚症状を伴わない紅色局面を認め,徐々に増大した.前医でステロイド外用を試みるも反応がみられないため当院へ紹介された.病理組織学的検査で乾酪壊死を伴わない肉芽腫性変化認め,同時に行った皮膚組織の抗酸菌培養でMycobacterium intracellulareが検出された.また,胸部CTで肺に多数の粒状影が認められた.クラリスロマイシン(CAM)・エタンブトール(EB)・リファンピシン(RFP)併用内服療法を開始し,右耳前部の皮疹は消退傾向を示した.本邦においてM. intracellulareの皮膚への感染は稀で,これまで8例報告されている.一般にM. intracellulare感染症は免疫不全者に多いといわれるが,自験例のような免疫不全非合併例も3例あり,皮膚非結核性抗酸菌症の原因菌を検索するうえで考慮する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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