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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻6号

2020年05月発行

文献概要

症例報告

ミノサイクリン内服で著明に縮小したブルーリ潰瘍の1例

著者: 鎗山あずさ1 米井希1 口広智一2 宮本友司3 深野華子3 石井則久4

所属機関: 1公立那賀病院皮膚科 2公立那賀病院臨床検査科 3国立感染症研究所 4国立療養所多磨全生園

ページ範囲:P.447 - P.452

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要約 40歳台,男性.初診の約6か月前に左上腕伸側に皮下結節を自覚した.徐々に拡大し,潰瘍を形成した.初診時,左上腕伸側に1.5cm大の皮膚潰瘍を認め,周囲に皮下硬結を伴っていた.潰瘍部からの生検組織片を2%小川培地にて30℃で培養したところ,4週目にコロニーの発育を認めた.菌株の遺伝子解析によりMycobacterium ulcerans subsp. shinshuenseによるブルーリ潰瘍と診断した.ミノサイクリン内服で著明に縮小し,外科的治療を要さずに治癒した.ブルーリ潰瘍の患者の多くはアフリカに集中しているが,2018年までに本邦でも70名の患者が報告されている.慢性に経過する皮膚潰瘍では本疾患を鑑別に入れた検索が必要である.DNA-DNA hybridization法ではM. ulceransM. marinumは鑑別できないため,ブルーリ潰瘍を疑う場合には積極的にPCR検査を行う必要がある.

参考文献

1) 濵田利久:日皮会誌 122:3376, 2012
2) 石井則久,他:日臨皮会誌 29:376, 2012
3) Johnson PD, et al:Emerg Infect Dis 13:1653, 2007
4) WHOのブルーリ潰瘍サイト(http://apps.who.int/gho/data/node.main.A1631)
5) 国立感染症研究所のブルーリ潰瘍サイト(https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/2913-bu-intro.html)
6) 四津里英,他:病理と臨床 33:862, 2015
7) 蓮見純平,他:小児感染免疫 23:383, 2012
disease(Buruli ulcer). World Health Organization, Geneva, 2004
9) Sugawara M, et al:J Dermatol 42:588, 2015
10) Yotsu R, et al:J Dermatol 39:587, 2012
11) Clinical Laboratory Standards Institute(CLSI):Susceptibility testing of mycobacteria, Nocardia spp., and other aerobic actinomycetes, 3rd ed. CLSI supplement M62, CLSI, Wayne PA, 2018

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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