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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻6号

2020年05月発行

文献概要

症例報告

多発皮膚潰瘍を伴った皮膚硬化型慢性移植片対宿主病の1例

著者: 村岡響子1 大橋理加2 国本佳代1 山本有紀1 辻岡馨2 神人正寿1

所属機関: 1和歌山県立医科大学皮膚科 2日本赤十字社和歌山医療センター皮膚科

ページ範囲:P.453 - P.458

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要約 50歳台,女性.3年前に免疫芽球性T細胞リンパ腫に対する非血縁者間骨髄移植術を施行され,完全寛解を得た.その2年後より全身の皮膚硬化が出現,皮膚硬化型慢性移植片対宿主病(graft-versus-host disease:GVHD)の診断でステロイドとタクロリムスの内服にて加療され,皮膚硬化の進行は抑制された.光線療法を開始されたところ,下肢に小水疱が出現し,潰瘍化した.潰瘍は急速に増数・拡大し,下腿前面で腱が露出したため当科紹介受診となった.血栓症,血管炎あるいは壊疽性膿皮症の合併が鑑別に挙がったがいずれも否定的であり,皮膚硬化型慢性GVHDに伴う皮膚潰瘍と診断.入院の上,計4回のデブリードマンおよび自家分層植皮術を行い,潰瘍はほぼ上皮化した.皮膚硬化型慢性GVHDの難治性皮膚潰瘍に対し自家分層植皮術を行い良好な結果を得た症例報告は文献的にほとんど見当たらないが,有用な治療の選択肢となりうると考える.

参考文献

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9) Ammer J, et al:Bone Marrow Transplant 47:1368, 2012

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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