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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻7号

2020年06月発行

文献概要

症例報告

巨大な異所性石灰沈着を伴った全身性強皮症の1例

著者: 中井一花1 大霜智子1 長嶺宏明2 海浪佳歩2 米田紘一郎2 岡崎瑞江2 住友理映子1

所属機関: 1浅香山病院皮膚科 2浅香山病院内科

ページ範囲:P.491 - P.495

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要約 50歳,女性.初診の2,3年前より手指の腫脹が出現.その後,指尖部の潰瘍が出現し,石灰沈着物が付着するようになった.当科初診時,両手指腫脹と硬化,爪郭部毛細血管拡張,指尖部と足趾に潰瘍と石灰沈着,を認めた.血気胸の治療のため入院となり,入院時の画像検査で右大腿骨周囲,腸骨前面に巨大な石灰沈着を認めた.採血で抗セントロメア抗体陽性を認め,全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)の診断基準を満たしたことからSScと診断した.強皮症などの膠原病ではしばしば異所性石灰化が報告されているが,自験例のように巨大な石灰化を認めた症例は稀である.自験例のように石灰化が巨大化した後では,手術侵襲が大きくなる可能性,腫瘍が切除不能となる可能性があるため,歩行障害を残さないためにもできるだけ早期の薬物あるいは外科的な治療を検討することが望ましいと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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