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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻7号

2020年06月発行

文献概要

症例報告

無症候の腹腔内遊離ガスがみられた水疱性類天疱瘡の1例

著者: 中川智絵1 大石泰史1 小林孝弘1 本間大2 山本明美2

所属機関: 1名寄市立総合病院皮膚科 2旭川医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.504 - P.508

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要約 64歳,男性.半年ほど前から,全身の瘙痒感と好酸球増多があり,近医内科でプレドニゾロン(PSL)5mg/日の投与を受けていた.初診の2週間ほど前から全身に拡大する紅斑と,一部に水疱が生じたため当科を受診した.抗BP180抗体が1,000U/ml以上と高値を示し,臨床所見および病理組織検査から,水疱性類天疱瘡と診断した.当科入院後,PSLを30mg/日へ増量し,皮疹の改善を得た.経過中,CRP高値とともに多量の腹腔内遊離ガスがみられた.消化管穿孔を疑ったが,当院外科で腸管囊胞状気腫症に伴う気腹症と診断された.抗菌薬投与による保存的治療を実施し,1か月後には腹腔内ガスは著明に減少した.本症は比較的稀ではあるが,ステロイド長期内服が発症の要因となりうるため,注意が必要である.

参考文献

1) 軽部美穂,他:日内会誌 91:3278, 2002
2) 野田昌昭,他:臨血 42:696, 2001
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4) 京兼隆典,他:日消外会誌 42:622, 2009
5) Jamart J, et al:Acta Hepatogastroenterol(Stuttg) 26:419, 1979
6) 北山 卓,他:日消外会誌 43:828, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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