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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻7号

2020年06月発行

文献概要

症例報告

IgG4関連疾患の診断基準を満たした木村病の1例

著者: 日高太陽12 長谷川道子1 高橋舞3 川田倫之4 田村敦志1

所属機関: 1伊勢崎市民病院皮膚科 2産業医科大学皮膚科学教室 3伊勢崎市民病院小児科 4伊勢崎市民病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.509 - P.514

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要約 14歳,男性.約5か月前に右耳前部の腫脹に気づいた.改善しないため,2か月前に近医を受診し,右耳下腺の腫瘤を指摘され,精査目的に当院耳鼻咽喉科を紹介された.画像および血清学的検査で,右耳下腺の腫大,鼻根部皮下腫瘤,血清IgG4高値を認め,IgG4関連疾患が疑われた.診断確定のため当科で20×15mmの鼻根部皮下腫瘤を生検した.組織像では横紋筋周囲の皮下脂肪織が線維化し,筋層内と周囲の皮下脂肪織に濾胞様構造を伴う炎症細胞浸潤がみられた.浸潤細胞は小円形細胞と好酸球が主体で,免疫染色ではIgG4陽性形質細胞がIgG陽性形質細胞とほぼ同数みられた.IgG4関連疾患の診断基準を満たす木村病と診断し,プレドニゾロン30mg/日を投与し寛解した.皮膚科領域におけるIgG4関連疾患の報告はいまだ少数である.皮膚科医は,木村病が疑われる症例ではIgG4関連疾患の一病型である可能性を十分認識したうえで積極的に診断に関わるべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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