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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻7号

2020年06月発行

文献概要

症例報告

Weeklyパクリタキセル療法と放射線治療で長期生存が得られた血管肉腫の1例

著者: 小林英資1 佐藤洋平1 水川良子1 大山学1

所属機関: 1杏林大学医学部皮膚科学教室

ページ範囲:P.515 - P.519

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要約 81歳,男性.左前頭部から側頭部の皮疹を主訴に初診した.受診時,血痂を付し出血を伴う紅斑および境界不明瞭な紫斑を認め,皮膚生検の所見から血管肉腫と診断した.腫瘍径が5cm超かつ境界不明瞭であることから完全切除が困難でありweeklyパクリタキセル療法および放射線併用療法を施行した.治療開始後,病変は著明に縮小し,初診から16か月経過した現在のところ転移・再発を認めていない.本邦で報告された皮膚血管肉腫107例を比較検討したところ,腫瘍径にかかわらず,手術施行群は手術未施行群と比較して生存期間に統計学的有意差はなかった.また,手術の有無にかかわらずパクリタキセルと放射線の併用療法施行症例では腫瘍細胞深達度が皮下組織に至る場合に予後が1年以下となる傾向がみられた.自験例も同様の深達度であったが有害事象や合併症がなくweeklyパクリタキセル療法を定期的に繰り返せたことが良好な経過に寄与したと考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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