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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻7号

2020年06月発行

文献概要

症例報告

放射線療法が奏効した原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫の1例

著者: 金子彰良1 城野剛充1 水橋覚1 牧野公治1

所属機関: 1国立病院機構熊本医療センター皮膚科

ページ範囲:P.520 - P.524

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要約 92歳,男性.右頰部にびらんが出現した後に結節(1.5×1.2cm)を形成し当科を受診した.病理組織ではCD30陽性の異型リンパ球が表皮直下から真皮中層にかけてびまん性に浸潤していた.造影CTでは全身の転移所見は認めず,原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(primary cutaneous anaplastic large cell lymphoma:cALCL)と診断した.再診時に腫瘍径は4cmにまで増大していた.全身麻酔下での手術や化学療法の実施は困難と判断し,放射線療法〔電子線総量40Gy(2Gy×20回)〕を行った.照射終了後に腫瘍は消失し8か月経過時点で腫瘍の再発は認めなかった.cALCLの治療で,放射線療法,手術,その両者併用,化学療法では放射線療法での再発が最も少なかったとの報告があり,手術や化学療法の実施が難しい場合には放射線療法を積極的に検討すべきである.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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