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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻7号

2020年06月発行

文献概要

症例報告

肺病変を伴った皮膚疣状結核の1例

著者: 稲田有亮1 金澤伸雄1 山本有紀1 赤松啓一郎2 神人正寿1

所属機関: 1和歌山県立医科大学皮膚科 2和歌山県立医科大学呼吸器内科・腫瘍内科

ページ範囲:P.525 - P.529

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要約 44歳,男性.初診の7か月前から両側鼠径部・臀部に疼痛を伴う紅斑が出現し市販の外用薬を塗布した.症状改善ないため近医を受診し皮膚疣状結核が疑われ,精査加療目的に当院を紹介された.特徴的な皮膚所見と病理検査における真皮上層の類上皮細胞肉芽腫の存在に加え,結核菌抗原ペプチドに対するT細胞のIFN-γ産生陽性と皮膚組織のPCR検査でのMycobacterium tuberculosis検出により皮膚疣状結核と確定診断した.他臓器病変を検索したところ肺に結核を疑う粒状像を認め,喀痰PCR検査でもMycobacterium tuberculosisが検出されたため肺結核の合併と診断した.初診後10日目に肺結核治療に準じて4剤併用療法を開始し,皮膚所見・肺症状ともに改善をみた.治療抵抗性の隆起性皮疹をみた場合には,皮膚疣状結核を鑑別疾患に挙げる必要がある.また,皮膚結核の症例においては,明らかな他臓器症状がなくても全身検索が望ましいと考える.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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