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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻7号

2020年06月発行

文献概要

症例報告

ヨウ化カリウム内服で消退がみられたMycobacterium marinum皮膚感染症の1例

著者: 中野小百合1 小笹美蘭1 浅井令奈1 簗場広一1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学飾医療センター皮膚科

ページ範囲:P.531 - P.535

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要約 70歳,女性.30年来の熱帯魚飼育と家庭菜園の趣味あり.初診1〜2か月前より,右手2指に有痛性の紅斑を認め,増数したため,当科を受診した.初回皮膚生検にて肉芽腫性変化を認めた.皮膚病変は増し,皮膚の抗酸菌や真菌症などを考え,皮膚組織培養と2回目皮膚生検を施行した.スポロトリコーシスを想定し,ヨウ化カリウムの内服を開始した.抗酸菌培養にてMycobacterium marinumが確認されたが,ヨウ化カリウム内服のみで病変が明らかに消退傾向だったことより同治療を継続し,計5か月内服した.内服開始から8か月半後に皮膚病変の完全消退を確認し,以後再燃なし.過去の報告にて,スポロトリコーシス以外の皮膚感染症に対して,ヨウ化カリウムのみで加療を行ったものは3例確認された.非結核性抗酸菌症などの皮膚感染症における,ヨウ化カリウムの有用性について今後も報告が集積されることが期待される.

参考文献

1) 玉置邦彦(編):最新皮膚科学大系,第14巻 細菌・真菌性疾患,中山書店,p144, 2003
2) 玉置邦彦(編):最新皮膚科学大系,第14巻 細菌・真菌性疾患,中山書店,p267, 2003
3) 種本紗枝,他:皮膚臨床 57:1810, 2015
4) 野々垣彰,他:皮膚臨床 61:1317, 2019
5) Gilchrist H, Patterson JW:Dermatol Ther 23:320, 2010
6) 林周次郎,他:皮膚病診療 34:500, 2012
7) 齋藤友紀,他:臨皮 71:429, 2017
8) 新井裕子,他:臨皮 37:249, 1983
9) Aozasa N, et al:J Dermatol 38:826, 2011
10) Numata S, et al:J Dermatol 43:843, 2016
11) Miyachi Y, et al:J Dermatol 107:209, 1982

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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