icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻9号

2020年08月発行

文献概要

症例報告

鼠径部に生じたmesothelial cystの1例

著者: 大原満梨奈1 日置智之1 森知花1 神谷秀喜1 北島康雄1 杉山誠治2 山田鉄也2 松永研吾2

所属機関: 1木沢記念病院皮膚科 2木沢記念病院病理診断部

ページ範囲:P.717 - P.722

文献購入ページに移動
要約 74歳,女性.B型慢性肝炎,肝細胞癌術後で他院通院中.2018年8月頃より右鼠径部に皮下腫瘤が出現し徐々に増大したため,当科を受診した.右鼠径部に2cm大で弾性軟,下床との可動性良好な皮下腫瘤を認めた.画像検査では皮下組織内の境界明瞭な囊胞性腫瘤で腹腔内との連続性はなく,局所麻酔下で摘出した.病理組織像では,1層の扁平な細胞に裏打ちされた囊胞を認め,免疫染色で囊胞壁の細胞がAE1/AE3,カルレチニン,D2-40,WT-1に陽性であったため,中皮細胞由来のmesothelial cystと診断した.Mesothelial cystは中皮細胞に由来する囊胞性病変で,成因として胎生期の間葉系中皮要素の遺残によるものや腹膜囊状突起の閉鎖不全が考えられている.腹腔内に連続,あるいは鼠径ヘルニアを合併する場合もあるため,術前に画像検査でよく確認し手術を行う必要がある.

参考文献

1) 古川正隆,他:西日泌尿 61:711, 1999
2) 中川智彦,他:日臨外会誌 77:74, 2016
3) 杉田佳子,他:日泌尿会誌 103:566, 2012
4) 横田太郎,他:日臨外会誌 79:1950, 2018
5) 岩﨑 渉,他:臨外 67:271, 2012
6) 津福達二,他:日臨外会誌 72:2659, 2011
7) Tirnaksiz M, et al:Int Surg 101:171, 2016
8) 林 正彦,他:臨外 53:1641, 1998
9) 久保田啓介,他:日臨外会誌 70:604, 2009
10) 齋藤博紀,他:日臨外会誌 77:447, 2016
11) 神谷秀喜,他:日皮会誌 124:1563, 2014
12) 遠近直成,他:外科 58:1410, 1996
13) 稲垣光裕,他:日臨外会誌 66:1776, 2005
14) 今津浩喜,他:日臨外会誌 69:3300, 2008
15) 竹本圭宏,他:日臨外会誌 70:2521, 2009
16) 釼持 明,他:日臨外会誌 78:1605, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?