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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科74巻9号

2020年08月発行

文献概要

症例報告

ヒドロキシウレア長期投与中に生じた下肢有棘細胞癌の1例

著者: 鹿毛勇太1 袋幸平1 大須賀裕子1 泉佳菜子1 中村和子1 蒲原毅1

所属機関: 1横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科

ページ範囲:P.733 - P.736

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要約 84歳,男性.職業はいけばな講師.本態性血小板血症に対してヒドロキシウレアを長期内服中に,左足背にびらんを伴う結節が生じた.ブラクデシンナトリウム軟膏による外用療法が施行されたが症状は改善せず,皮膚生検により有棘細胞癌と診断された.ヒドロキシウレアによる薬剤性皮膚潰瘍に正座による慢性刺激が加わり有棘細胞癌が発症したと考えられた.治療として,有極細胞癌に対し外科的切除術を施行し,ヒドロキシウレアをブスルファンへ変更した.ヒドロキシウレア長期投与例では,有棘細胞癌など皮膚悪性腫瘍が露光部に生じ得ることが知られているが,非露光部であっても皮膚潰瘍が生じた部位に外的刺激が慢性に加わることで有棘細胞癌など皮膚悪性腫瘍が生じ得る可能性がある.皮膚潰瘍と診断しても,漫然と潰瘍処置を継続せずに,内服薬などの病歴を詳細に確認し,組織学的検査を用いて悪性腫瘍を見逃さないことが重要である.

参考文献

添付文書,第14版,ブリストル・マイヤーズ株式会社,2019年7月改訂
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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