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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻1号

2021年01月発行

文献概要

症例報告

遅発性に生じたトニックウォーターによる固定疹の1例

著者: 青木孝司1 川野貴代1 布袋祐子1

所属機関: 1荻窪病院皮膚科

ページ範囲:P.13 - P.16

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要約 24歳,男性.初診の半年前と1か月前に膝の紅斑,口唇の腫脹,軟口蓋の水疱形成を自覚したため当科を紹介され受診した.詳細な問診により,いずれの日もジントニックを飲んでいたことが判明し,トニックウォーターによる固定疹を疑った.As isのオープンパッチテストは陰性であったが,負荷試験は9時間後と遅発性に陽性となった.コーラなど他の炭酸飲料水の摂取では症状が出現しないことから,トニックウォーターに含まれるキニーネによる固定疹が考えられた.皮疹はステロイド外用約7日で色素沈着を残さず消退した.通常,キニーネによる固定疹は負荷試験で2時間以内に陽性となることが多いが,自験例は過去の報告と比較して長時間を要した.トニックウォーターによる固定疹を疑った場合は再現の時間に留意して負荷試験を実施することが必要であると考えた.

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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