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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻1号

2021年01月発行

文献概要

症例報告

隆鼻目的のヒアルロン酸注入による虚血性皮膚・眼障害の1例

著者: 井ノ口早苗1 延山嘉眞1 朝比奈昭彦1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座

ページ範囲:P.21 - P.25

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要約 34歳,女性.美容外科クリニックで鼻部にヒアルロン酸を注入した直後より皮膚障害,眼障害をきたし,同院でヒアルロニダーゼ局所投与とコルチコステロイド全身投与後に当院を紹介された.鼻背から前額部の紫斑,鼻尖・鼻翼部の壊死,左眼の視力低下・外斜視がみられた.ヒアルロン酸が鼻背動脈を介して眼動脈に注入され,その枝が閉塞したことによる症候と考え,眼球マッサージ,アルプロスタジルの外用と静注,バイアスピリン内服を開始した.初診11日後に眼位は正位に回復したが,左視力は改善しなかった.また,初診4日後には鼻尖・鼻翼部の皮膚が潰瘍化した.フィラー注入療法の局所的な有害事象として,紅斑,瘢痕,肉芽腫形成,感染,結節腫瘤など,動脈閉塞を介した重篤な有害事象として,失明,眼筋麻痺,脳梗塞,皮膚壊死などが報告されている.フィラー注入療法を行う際は技術の習熟と合併症への速やかな対応の用意が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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