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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻1号

2021年01月発行

文献概要

症例報告

両上眼瞼・上肢に有痛性紅斑を認めた結節性紅斑の1例

著者: 小田俊輔1 伏間江貴之1 角田朝子1 雪野祐莉子1 川北梨乃1 橋山卓弘2 吉田哲也1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構東京医療センター皮膚科 2独立行政法人国立病院機構東京医療センター総合内科

ページ範囲:P.32 - P.36

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要約 57歳,女性.初診10日前に咳嗽・咽頭痛を自覚.徐々に改善傾向であったが,初診3日前から両下肢に有痛性紅斑と全身の関節痛が出現したため紹介され受診した.初診時,下肢に限局して,径4cmまでのわずかに隆起した有痛性紅斑を数個認め,結節性紅斑と考え非ステロイド性抗炎症薬内服で加療した.初診3日後,有痛性紅斑は両上眼瞼・両上肢にも拡大,下肢の疼痛が増強したため精査加療目的で入院した.結節性紅斑の他に,Sweet症候群や,悪性リンパ腫を鑑別に下腿伸側の紅斑から生検を施行した.病理組織学的に皮下脂肪織で線維性隔壁優位に好中球,リンパ球を主体とした炎症細胞浸潤を認め,結節性紅斑と診断.全身検索を行ったが,血液検査でCRP上昇を認めた以外に基礎疾患はなかった.ヨウ化カリウム投与後速やかに症状は改善し,4か月経過し再発はみられていない.結節性紅斑の病勢が進行することで好発部位の下肢だけでなく,上肢や頭頸部にまで皮疹が拡大することがあると考えられた.

参考文献

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11) 立原恭子,他:西日皮膚 57:16, 1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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