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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻1号

2021年01月発行

文献概要

症例報告

Panton-Valentine leukocidin産生市中獲得型MRSAによる多発皮下膿瘍に続発した敗血症性肺塞栓症を生じたアトピー性皮膚炎の1例

著者: 黒沼亜美1 臼井真理子1 鎌田啓祐2 石河晃3

所属機関: 1JCHO東京高輪病院皮膚科 2北海道大学病院内科Ⅰ 3東邦大学医学部皮膚科学講座

ページ範囲:P.37 - P.42

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要約 22歳,男性.生来アトピー性皮膚炎あり.数か月前より頭部に圧痛のある紅斑が出現した.1週間前より39℃台の発熱,呼吸苦あり当院を受診した.胸部CTで両肺に浸潤影・多発結節影あり,頭部・背部には表面に痂皮を付す皮下膿瘍を認めた.血液・喀痰・皮膚培養でMRSAが検出され,皮下膿瘍に続発した敗血症性肺塞栓症と診断した.原因菌は近年本邦でも感染が拡大しているPanton-Valentine leukocidin(PVL)産生,市中獲得型メチシリン耐性ブドウ球菌(community associated-MRSA:CA-MRSA)であった.抗MRSA薬で加療し,皮膚症状,呼吸器症状ともに改善した.健常な比較的若年者がせつや皮下膿瘍を繰り返す場合はPVL産生菌を念頭に置き診療にあたり,抗菌薬の適正な投与が必要である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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