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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻1号

2021年01月発行

文献概要

症例報告

舌咽・迷走神経麻痺を合併したRamsay Hunt症候群の1例

著者: 片桐正博1 並木剛1 横関博雄1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

ページ範囲:P.55 - P.59

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要約 56歳,男性.8日前より左耳に“ピリピリ”した疼痛が,5日前より嗄声と嚥下障害が出現した.近医耳鼻科で急性外耳道炎と診断され,抗菌薬を処方されるも改善乏しく,精査加療目的に当科受診となった.左耳介と外耳道に複数の小水疱があり,カーテン徴候陽性で,喉頭内視鏡では左声帯が正中寄りにやや偏位していた.髄液検査では蛋白増加を認め,また水痘・帯状疱疹ウイルスDNAを検出した.以上より,舌咽・迷走神経麻痺を合併した左耳介帯状疱疹と考え,アシクロビルの点滴を開始した.経過中に左顔面神経麻痺が出現し,入院時は正常であったオージオグラムで患側の高音障害型難聴も認めたため,舌咽・迷走神経麻痺を合併した完全型Ramsay Hunt症候群と診断し,ステロイドの全身投与を併用したが改善に乏しかった.帯状疱疹に多発脳神経障害を伴う例では,神経学的予後の観点から治療早期より抗ウイルス薬に加えてステロイドの全身投与を考慮する必要がある.

参考文献

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15) 米田千賀子,他:J Clin Rehabil 18:559, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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