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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻1号

2021年01月発行

文献概要

症例報告

多発する消化器癌に続き3つの脂腺系腫瘍を生じたMuir-Torre症候群の1例

著者: 村上遥子1 猿田祐輔1 岩井信策1 渡辺秀晃1 恩田秀寿2 矢持淑子3 瀧本雅文3 末木博彦1

所属機関: 1昭和大学医学部皮膚科学講座 2昭和大学医学部眼科学講座 3昭和大学医学部病理学講座

ページ範囲:P.81 - P.87

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要約 58歳,男性.家族歴として祖父,叔父2人に大腸癌.既往歴に大腸癌,盲腸癌,小腸癌,ケラトアカントーマ,胃多発ポリープがある.現病歴:1年前から腰背部に2個の結節を自覚した.現症として左腰背部に径7mmの表皮と癒着する淡紅色調の皮内結節,そして右上背部に15×10mmの表面暗紅色調のドーム状に隆起する皮内結節がみられた.単純切除を行い,それぞれ脂腺腫,脂腺腺腫と診断した.既往に消化器癌,ケラトアカントーマがありMuir-Torre症候群と診断した.術後3か月後に右上眼瞼に結節が出現し脂腺癌と診断した.マイクロサテライト不安定性検査では,6つの手術検体でHighの判定でありMSI陽性を示し,遺伝子検査ではMSH2遺伝子(エクソン7-14欠失)に変異を認めた.内臓悪性腫瘍と脂腺系皮膚腫瘍(脂腺腺腫,脂腺上皮腫,脂腺腫,脂腺分化を伴ったケラトアカントーマなど)が合併している患者では,本疾患を念頭に置いて診察することが必要である.

参考文献

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8) 竹井 健,他:日消外会誌 49:342, 2016
9) Ishiguro Y, et al:Surg Case Rep 3:71, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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