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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻10号

2021年09月発行

文献概要

症例報告

Spiny keratodermaの1例

著者: 千葉広夢1 塚田全1 相場節也2

所属機関: 1大崎市民病院皮膚科 2東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態皮膚科学分野

ページ範囲:P.785 - P.788

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要約 69歳,男性.心筋梗塞,間質性肺炎の既往あり.3年前より両手掌に棘状の突起を認めた.増加傾向にあり当科受診.両手掌から手指に1mm大の角化性丘疹が多発していた.瘙痒や疼痛などの自覚症状は伴わなかった.組織学的には,不全角化を伴った角柱を認め,直下の表皮はやや陥凹し,顆粒層の減少を伴っていた.異常角化や空胞変性はみられなかった.以上よりspiny keratodermaと診断した.過去の報告よりデルマドロームの可能性も考え,全身検索を行ったが悪性腫瘍を疑う所見は認めなかった.10%サリチル酸ワセリン外用を試したが症状は不変であった.Spiny keratodermaは自覚症状に乏しく見逃されていることも多い疾患である.デルマドロームとして発症する可能性も示唆されており,発見した際には全身検索を検討する必要がある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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