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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻10号

2021年09月発行

症例報告

小児の汎発性環状肉芽腫の1例

著者: 村岡真季1 黒沼亜美1 濱中美希1 関東裕美1 林健2 石河晃1

所属機関: 1東邦大学医学部皮膚科学講座(大森) 2東京労災病院皮膚科

ページ範囲:P.795 - P.800

文献概要

要約 7歳,女児.2019年7月中旬に四肢に瘙痒を伴う丘疹が出現し,その後全身に拡大した.近医皮膚科で診断不明として,当科紹介受診となった.顔面・体幹・四肢に紅色丘疹が散在性に多発しており,黄色肉芽腫やLangerhans組織球症を鑑別に挙げ,皮膚生検を施行した.変性した膠原線維を取り囲む組織球の浸潤がみられ,ムチン沈着を伴っており環状肉芽腫と診断した.トラニラスト内服とステロイド外用で初診から4か月後に皮疹は平坦化,色素沈着化した.汎発性環状肉芽腫は限局型と比べ典型的な環状皮疹を呈さないことが多く,特に小児では臨床診断に難渋することが多い.今回の症例を振り返るとほとんどの皮疹は丘疹であったが左肘に1か所小さな環状を呈するものがあり,参考となる所見であった.汎発性環状肉芽腫では環状皮疹と丘疹の混合型も比較的多いため,全身の皮疹をよく観察して環状の皮疹を1つでも見つけることが臨床診断の手掛かりになると考えた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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