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文献詳細

雑誌文献

臨床皮膚科75巻10号

2021年09月発行

文献概要

症例報告

小児に生じた多発皮膚顆粒細胞腫の1例

著者: 矢嶋真希子1 山本晋也1 中井康雄1 波部幸司1 中村保夫2 山中恵一1

所属機関: 1三重大学医学部附属病院皮膚科 2伊勢赤十字病院皮膚科

ページ範囲:P.801 - P.805

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要約 10歳,男児.初診2年前に左肩甲部に皮下小結節を自覚.前医での切除生検病理組織検査にて顆粒細胞腫と診断された.2年後に後頸部と右腰部に新たな皮下小結節が出現したため,精査加療目的に当科紹介となった.後頸部に5×5mm,右腰部に10×5mmの皮下小結節を触知した.摘出術施行し,病理組織学的にいずれの腫瘍もHE染色において胞体内に好酸性顆粒を有する比較的大型の細胞を認め,免疫染色にてNSE,CD-68,S100蛋白が陽性であり顆粒細胞腫と診断した.顆粒細胞腫は中年に好発し,単発が多く,小児例,多発例はきわめて稀である.顆粒細胞腫を認めた場合は,他部位への発生がないか全身を定期的に観察することが重要であり,小児の場合は保護者による観察が必要である.なかには悪性のものがあり,臨床診断が困難な皮下腫瘍の場合は組織検査を含めた鑑別が重要となる.また,Noonan症候群やNF1との合併の報告もあり留意が必要である.

参考文献

1) Weiss SW, Goldblum JR:Enzinger and Weiss's Soft Tissue Tumors, 4th ed, p1178, 2001
2) 恒吉正澄,他:福岡医誌 69:495, 1978
3) 山谷朋子,他:皮膚臨床 37:113, 1995
4) 堤 祐子,他:皮膚病診療 24:1359, 2002
5) Fanburg-Smith JC, et al:Am J Surg Pathol 22:779, 1998
6) 鈴木 哲,他:皮膚科診療カラーアトラス大系,6巻,p141, 2010
7) Weber CO, et al:Virchows Arch 7:115, 1854
8) 山田健太郎,他:日口腔内会誌 22:144, 2016
9) 難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp
10) Ramaswamy PV, et al:Pediatr Dermatol 27:209, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1324

印刷版ISSN:0021-4973

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