文献詳細
症例報告
文献概要
要約 症例1:69歳,女性.初診8か月前の転倒後より臀部に隆起が出現.症例2:51歳,女性.小児期より尾骨の突出あり.初診1か月前より誘因なく臀部に隆起が出現.症例3:13歳,女性.初診半年前に転倒し臀部を強打した後より臀部に隆起が出現.いずれも仙尾部に波動を伴う腫瘤があった.MRIで囊腫像を認め,穿刺にて淡紅色漿液性の液体を吸引し,仙尾部滑液包炎と診断した.発症の要因として打撲などの直接外力と仙尾骨部への繰り返す機械的刺激が考えられた.滑液包炎は整形外科で扱われることが多いが,皮下発生例は皮膚科を受診することも少なくない.仙尾部滑液包炎の国内外論文報告例は自験例を含め30例と少数であるが,臀裂部正中の囊腫状皮下腫瘤をみた際には鑑別疾患の1つとして皮膚科医も認識しておく必要がある.
参考文献
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